まずはブラックジャックのオリジナル(メイン)ベットのルールを紹介します。
一般的なブラックジャックのペイアウトテーブルは、卓上に「BLACKJACK PAYS 3 to 2」と書かれています。Blackjackだった場合、1.5倍配当がもらえます。
期待値の低いペイアウトテーブルは「BLACKJACK PAYS 6 to 5」となり、Blackjackだった場合は1.2倍配当がもらえるという意味になります。
ルールで変わるブラックジャックのリターントゥープレイヤー(Return to Player)
- 8デック
- ホールカード有(HOLE)
- S17(DEALER STAND ON SOFT 17)
- DAS禁止(DOUBLE AFTER SPLIT)
- SAS禁止(SPLIT AFTER SPLIT)
- LS禁止(LATE SURRENDER)
- スプリットはどのペアハンドでも可
- スプリットは1回まで可
- Blackjack配当3:2
House Edge: 0.6072%
RTP: 99.3928%
ルール | ハウスエッジ | RTP |
ホールカード無(NO HOLE) | 0.11% | 99.2728% |
H17(DEALER MUST HIT SOFT 17) | 0.82305% | 99.17695% |
SAS(SPLIT AFTER SPLIT)※ | 0.5725% | 99.4275% |
DAS(DOUBLE AFTER SPLIT) | 0.48578% | 99.51422% |
LS(LATE SURRENDER) | 0.53138% | 99.46862% |
※4ハンドまで
ベーシックストラテジー早見表(Basic Strategy)
Hard | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | T | A |
8 | H | H | H | H | H | H | H | H | H | H |
9 | H | D | D | D | D | H | H | H | H | H |
10 | D | D | D | D | D | D | D | D | H | H |
11 | D | D | D | D | D | D | D | D | D | H |
12 | H | H | S | S | S | H | H | H | H | H |
13 | S | S | S | S | S | H | H | H | H | H |
14 | S | S | S | S | S | H | H | H | H | H |
15 | S | S | S | S | S | H | H | H | H | H |
16 | S | S | S | S | S | H | H | H | H | H |
17 | S | S | S | S | S | S | S | S | S | S |
Soft | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | T | A |
A2 | H | H | H | D | D | H | H | H | H | H |
A3 | H | H | H | D | D | H | H | H | H | H |
A4 | H | H | D | D | D | H | H | H | H | H |
A5 | H | H | D | D | D | H | H | H | H | H |
A6 | H | D | D | D | D | H | H | H | H | H |
A7 | S | D | D | D | D | S | S | H | H | H |
A8 | S | S | S | S | S | S | S | S | S | S |
Split | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | T | A |
22 | P | P | P | P | P | P | H | H | H | H |
33 | P | P | P | P | P | P | H | H | H | H |
44 | H | H | H | P | P | H | H | H | H | H |
55 | D | D | D | D | D | D | D | D | H | H |
66 | P | P | P | P | P | H | H | H | H | H |
77 | P | P | P | P | P | P | H | H | H | H |
88 | P | P | P | P | P | P | P | P | P | P |
99 | P | P | P | P | P | S | P | P | S | S |
TT | S | S | S | S | S | S | S | S | S | S |
AA | P | P | P | P | P | P | P | P | P | P |
ロングランにおける期待値を生むプレイング
コンプリートBSと、そのカスタムストラテジーを同じ卓上で収支結果を競わせたデータです。
コンプリートと名の付くものは、一般的に認知されているBSと同じです。これは、発表された年代でストラテジーが違ったものが出されているからです。
カスタムストラテジーは、16vs10をスタンド(Stand)に設定してあります。
BSとカスタムストラテジーの違いはそれのみ。
- ラウンド: 3000億
- シューズ: 94億1285万5416
- 総プレイ時間: 1199623000時間
- 貫通度: 50%
- プレイヤー: 2人(各1ハンドのみ)
- S17・Blackjack配当3:2・ホールカード有り
- LS・DAS・SASすべて無し
- スプリットは全てのハンドで1度限り可
フラットベットで13万年以上プレイし続けた計算結果は…
プレイヤーが負けの多い状況では、カスタムストラテジーの収支はBSに後れを取っています。
勝ちの多い状況においては、そこまで大きな差がつくことはありませんでした。
カードカウンティングで増減するRTP
トゥルーカウント(以下、TC)でRTPが変わるのをご存知ですか?
TC | プレイヤーアドバンテージ | RTP |
-4 | -2.5% | 96.8928% |
-3 | -2% | 97.3928% |
-2 | -1.5% | 97.8928% |
-1 | -1% | 98.3928% |
0 | -0.5% | 98.8928% |
1 | 0% | 99.3928% |
2 | 0.5% | 99.8928% |
3 | 1% | 100.3928% |
4 | 1.5% | 100.8928% |
5 | 2% | 101.3928% |
ブラックジャックがカジノゲームの中で唯一プレイヤー有利とされるのは、TCによるベット指標のカラクリがあってこそです。
TC2のRTP99.8928%であっても、20vs6などの超有利な状況を引く可能性が十分に残されています。多くのカードカウンターがベットアップにしている起点となります。
ホットテーブルでは4~5人がBlackjackとなる可能性を秘めた好機です。
カードカウンティングによるRTPの上振れと破滅
全てのカードカウンティングシステムに当てはまるのが、TCの計算式の誤りによって破滅のリスクが非常に高まるということです。
これは、カードカウンティングシステムを世に放たれた時の計算方法を用いらなければ容易に起こりえます。
TC3を数えると、遂にはRTP100.3928%となりプレイヤーアドバンテージが100%を超えます。
このスコアは100%プレイヤーが勝てるのではなく、ディーラーのバスト率やBlackjackの出現率など様々な要因が重なってできた収支の期待値となります。
分かりやすくいうなら、スロットでもRTP100%未満のものしかないにも関わらずSNSで勝利報告などを目にしますよね。
失うはずが、逆に増えている。その逆もまた然り。
それらを回避する術が書籍には載っています。きちんと考えられているものだなと感心しきりです。
こちらはTCの計算式をカードカウンティングシステムの書籍どおりに組んだものになります。
5000万ラウンドと短い期間ではありますが、RCがポジティブな値において赤くなっている箇所は一つも見当たりません。
ここから更にASCを導入して再計算してみました。
新たな5000万ラウンドを計測した結果は、収支に若干の誤差があったものの期待通りの赤なしという結果に終わりました。TC計算式は前回のものと同じです。
これだけだと流石に雑過ぎるので、もう少し細かく説明していきます。
貫通度と出現カード比率
貫通度とは、シューに対して何割の場所でカッティングカードが刺さっているのかということです。
カッティングカード(以下、CC)を中心に前半の配られるカードと、後半のお触り程度にしか表に出ないカードの群に別けられます。
カードカウンティングは前半部分を数え、後半部分のプレイヤーアドバンテージが乗るか乗らないかの部分は考えることはありません。
ではここで考えてみましょう。カードナンバーを追跡してポジティブになったとします。
次にハイカードをヒットするのはどのぐらいのラウンドが経過してからでしょうか?
答えは貫通度50を超えた辺りになります。
理由は簡単で、弱いカード群Wと強いカード群Sを以下のように仕分けします。
弱いカード群W
2/3/4/5/6/7
強いカード群S
9/10/J/Q/K/A
8はどちらにも属さないものとします。
そう、つまり6:6=1:1となるので、センターでカッティングされると追跡することが出来ないままシューチェンジを迎えてしまいます。
偏りは期間限定で、残されたパイを奪い合う争奪戦がブラックジャックの真の姿です。
CC直前、且つフルテーブルで全員がベットしていればディーラーと合わせて16枚は配られる計算になります。
ほぼ4デック=16クォーターデックが残されていて、そのうちの16枚1クォーターデック弱が配られます。
この僅か1/16ちょいの中から望むカードを引ける可能性がどれだけあるのか。
CC直前のベッティングラウンドでTC32にもなっていれば素直に追うでしょうが、現実的に滅多に起こるものではありません。
ネットで出回っているTC計算式では大きくなりすぎて深手を負います。
プレイヤー人数で分断される期待値
よくTwitterに書いていた、TCごとにおける有利ハンドの数についてお話しします。
カード群Wとカード群Sの比率は1:1なので、一気に放出すれば平らかにしかなり得ません。人数が多すぎるが故にTC1の小さな偏り程度、フルテーブルでは一瞬で推移し過ぎ去ってゆきます。
ベッティングラウンドではTC2でも、ディーリングされていざプレイするとTCが1割れしていたりなんてザラです。
結果ディーラーがハイカードを持ち、プレイヤー達にはローカードがまちまちに配られる状況(ダウンスイング)が生まれるのです。
この時ハイカードが多めに出ていれば、ベッティングの機会を失うことになるばかりか16vsハイカードなんてこともあります。
互いに首を絞めあう構図となり、これが有利ハンドには限りがあるといった理由です。卓状況の理想は最大でも4人、それを超える人数ではTC2など小さな渦程度の頼りなさです。
ダブルダウンハンドが入ったとしても、TCがフラットよりならベッティングラウンドとは違う期待値でプレイせざるを得ません。
では、先程のRTPの話を思い出してみましょう。TC3で初めてRTPが100を超えていました。基本的にカードカウンティングの値は0へと収束していくので、ハイナンバーがいつやって来てもおかしくない訳です。
であれば、TCのベッティングポイントを1ではなく2毎に変えれば増減は大きくならなずに済みます。カードの推移の速度に応じて、プレイングに支障のないように立ち回れるはずです。
乞うご期待!